ドライヴ~飴色の写真~

「美味い。美味いぞ、なぎさん」

「そりゃどうも、ありがとうございます」

 テーブルをはさんだ向かい側で、篠さんが嬉しそうに私の手料理を頬張っている。
 
 確かに、疲労感のみで判断するなら、この数時間はまるで丸一日くらい経っていそうだが、実際は前回の食事からまだ五時間程しか経っていない。

 それなのに篠さんは、ものすごい勢いで召し上がってくれている。

 改めて考えると、なかなか不思議な光景だ。

 普段はポーカーフェイスのアラサーのおっさんを、こんなにもハニカませて、私は一体どうするつもりだ。

 いや、どうするつもりもないが。本当ですよ。


「やはり、人間、衣・食・住のどれが欠けてもいけないな。特に食は幸せの象徴だ」

「なんだか、大げさですね。篠さん」

 私は、思わず吹き出した。

「大げさなもんか。なぎさんは戦国時代の人間じゃないからそんなことが言えるんだ」

「篠さんだって、昭和生まれでしょ」