ドライヴ~飴色の写真~

「怪しいというか……逆に、教習所以外で、なぎさんが誰かに狙われる可能性の方が低いと思うんだが」

「それって、つまり。遠まわしに、私に出会いがないって言ってますよね。てか、さりげなく合コンのことも聞いてたし」

「……まあ。あまり先入観を持ちすぎると危険だ。あくまで可能性にすぎない、ということにしておこう」

 篠さんが、背もたれに体重を預ける。
 そして、頭をかいた。黒髪が僅かに揺れる。

「最近、何か変だな、と思ったことはあるか? どんな些細なことでもいい」

 ここ最近、妙に《ささくれ》が出来やすくなっていることが結構気になっているが、たぶんこれは今回の事件には関係ないと思ったので、改めて思考を巡らせた。

「……あ」

 思わず、声が出た。

「どうした、なぎさん」

「そういえば二週間くらい前、夜に近くのコンビニから歩いて帰る途中、誰かにつけられてる気がしたんです。結局振り向いても誰もいませんでしたけど」

「なるほど。いかにも鈍感そうななぎさんが気付くくらいだから、気のせいじゃないかもしれないな」

 ちょいちょい失礼。この人。