「……篠さん。残念ですけど、オートマ限定免許に切り替えましょうか!」
私は、満を持して、そう切り出した。
「えっ! おれ、マニュアルのミニ・クーパに乗るのが夢なんだけど」
「篠さんがマニュアルのミニ・クーパに乗ったら、それこそ夢のように死んでしまうでしょうね」
私の頭の中で、沢田知可子の「会いたい」がBGMで流れたのは内緒だ。不謹慎でごめんなさい。
ふと、篠さんを見ると口を開けたまま固まってしまっている。
案外、ショックを受けているようだ。
……少しかわいそうだとも思ったが、教習生の力量を的確に判断をして、相手が納得するまで説得するのも指導員の役目だ。
「篠さんは、クラッチという存在を認めれてないんですよ。頭固いから。たぶんクラッチとわかりあえるようになるまでは延長料金だけで何万とかかりますよ。オートマ車ならアクセルとブレーキだけだから、クラッチなんてすっぱりキレイに忘れ去ってしまえるんですよ。それってどんなに素晴らしいことかと思いませんか」
私の話を、篠さんはうなだれたまま聞いていた。
私は、満を持して、そう切り出した。
「えっ! おれ、マニュアルのミニ・クーパに乗るのが夢なんだけど」
「篠さんがマニュアルのミニ・クーパに乗ったら、それこそ夢のように死んでしまうでしょうね」
私の頭の中で、沢田知可子の「会いたい」がBGMで流れたのは内緒だ。不謹慎でごめんなさい。
ふと、篠さんを見ると口を開けたまま固まってしまっている。
案外、ショックを受けているようだ。
……少しかわいそうだとも思ったが、教習生の力量を的確に判断をして、相手が納得するまで説得するのも指導員の役目だ。
「篠さんは、クラッチという存在を認めれてないんですよ。頭固いから。たぶんクラッチとわかりあえるようになるまでは延長料金だけで何万とかかりますよ。オートマ車ならアクセルとブレーキだけだから、クラッチなんてすっぱりキレイに忘れ去ってしまえるんですよ。それってどんなに素晴らしいことかと思いませんか」
私の話を、篠さんはうなだれたまま聞いていた。

