ドライヴ~飴色の写真~

   〈4〉

 そして次の時間。
 私がお馴染みの22号車に向かうと、あの男が乗っていた。

 目が、合う。

「……こんにちは。この時間を担当する田中です。よろしくお願いします」

「わざわざ言わなくても、知ってるけど。なぎさん」

「いや、一応、これ言う決まりなんだってば」


 相変わらず篠さんは、淡々とした口調と表情で私を茶化す。
 
 ただ、彼に会うのは約2週間ぶりだ。
 かなり久しぶりな気がする。

 まあ、長めの黒髪も、黒いスーツのようなズボンも、着崩した水色のワイシャツも、2週間前と何ら変わってはいないのだが。

 ……そんなことよりも。


 そう、つまり。これから篠さんの《約2週間ぶりの技能教習》が始まるのだ。

 
 私は、ごくり、と喉を鳴らした。