ドライヴ~飴色の写真~

   〈3〉

「はい。この時間を担当する田中です。よろしくお願いしまーす」

「先生、今日もしかしてスッピンですか?」

「なんですと」
 
 あっさりばれてしまった。

 この1時間目が始まる前に、弥生から言われたとおり眉毛を描いたというのに。

 教習開始、15秒。

 いきなり教習生に、指摘されたんですけれども。

 やはり、所詮眉毛か。
 顔の中で一番勢いがあるだろう瞳。その上に位置する線は、あくまでただの線なのだ。
 瞳を守る為にある、瞳の引き立て役でしかない。
 眉毛を1組、若干線を足して整えたくらいでは、結局何も変わらないのだ。

「眉毛を描けば、とりあえずいいだろとか思ったんでしょ」

「うるさいよ」