あたしの意見にしぶしぶ同意するレイチャン。

「…めっちゃ不機嫌…」

葵と顔を見合わせて苦笑い。

葵とレイチャンと3人で店を出る。

エレベーターを降りて慣れた手つきで葵がタクシーを止める。

運転手さんに行き先を言ってくれて、お金まで渡してくれた。

「帰ったら電話して?」

タクシーに乗り込むあたし達にありきたりなセリフを投げ掛ける。

「葵は仕事中やろ?」

「いいよ?心配やし…」

少し俯いて囁く。

…さすがホスト…。

「ありがと。でも電話はせぇへんよ?…今日はありがとね!良い思い出なったよ~?御馳走様でした!おやすみぃ~!」

勢いよくしゃべってタクシーのドアを閉める。

葵が何か言いかけてたけど。

…今のあたしは…誰かに優しくされると頼ってしまうから…。



…たとえそれが…。


……相手にとって仕事の一貫だったとしても……。