そう思ったばかりなのに…



「よう、女」




な、何でこの人たちが?



朝、家を出ると家の前に昨日の二人がいた。


無理だと感じながらもあたしは二人の前を通りすぎようとした。





ガシッ




「―――…ッ」




強い力で手首を掴まれた。

振り向くと、晃という人があたしの手首を掴んでいて、もう一人の方は何が楽しいのかニコニコと笑っている。



「今日は、昨日みたいにはいかねぇぞ」


と笑いながら、でもあたしの手首を掴んだまま言った。


「は…、離してください…」


小さな声であたしが言うと手を離してくれた。


「あの、なんで…」


言いたいことがうまく言えない。


「あのなぁ、俺の名前は『あの』でもなく『なんで』でもなく更科晃っつーんだよ!」







いや、名前を呼びたいわけじゃないんだけど。







「そして僕は祐。晃の双子の弟なんだ」








いや、はい。だから名前は昨日聞いたんですよ。








「あの、なんで家の前にいるんですか?」


恐る恐るたずねると、バカにしたように鼻で笑って



「“私のお姫様”だから」


二人で声を揃えて言った。

「私達のことは晃、祐とお呼びください」


「晃さん、祐さん?」


冗談めかした言い方だったのだが、あたしは思わず真剣に返してしまった。


「気にくわねぇ…」


ポツリと晃という人が呟いた。


「なんで俺らタメなのに『さん』付けで敬語なんだよ…」





同じ一年生だったんだ…