トイレに行くと、ドアにもたれて肩で息をしているアキがいた。
『おい…アキ!!』
肩を揺さぶるが、返事はない。顔色はどんどん悪くなっている。
しかたなく、近くのホテルに運ぶことにした。
「あの、お客様のお部屋はこちらになります」
ホテルマンに案内され、ベッドにアキを寝かす。それでもまだ、苦しそうにいきをしていた。
ったく…心配かけやがって、バカヤロウ。
横に座り頭をクシャクシャする。柔らかい髪の感触がわかる。
五年ぶりだもんな…。
さっきの店の話が本当なら、アキは
ずっとおれを待っていてくれたのか‥?
確かに今回、アキに逢うために日本に来た。でも正確に言えば、アキの様子を見に来たんだ。
五年間、連絡をとらなかったんだ。
アキはおれのことなんか忘れていると思った。
彼氏でもいたら、影で見てそのまま帰るつもりだった。


