『嫌です』

ここで引き下がるわけにはいかない。‥おれにも守りたいものがあるんだ。


『…葛城、いや桜庭朔太郎と合わせていただけますか?』

「できない。朔太郎は今、多忙の身なんだ。お前なんぞ相手にはできない」



こう言われると思っていた。もう、あの手しかない。


『おれは…、結婚したい相手がいます。そいつと一緒になるためには、もう手段を選ばない』



「何が言いたい?」





ふーっと息を吐いて、息を整える。















『…おれを桜庭家の跡取りにしてください、お父さん』




目をしっかりと見て、頭を下げた。