運命の恋~先生を抱きしめたい~

「紅・・・おいで」


母はなつかしそうに
校内を歩いていた。


「まだあるかしら・・・・」


私は母の後を追いかけて行く。



母は廊下のくぼみに顔を入れて


「あった~」と笑った。



「おいで、紅!!」


私がくぼみに目をやると


 『光太郎LOVE博美』と

彫ってあった。



「これ・・・・」


「そう、パパとママが高校の時
ここに彫ったの。
卒業式の日ね~まだあった・・・・」



父と母は冷めていた。
でも本当は
母は・・・・父が好きなんだとわかった。


「あの頃に戻れるなら
戻りたいな・・・・・。」



母がポツリとつぶやいた。


この学校で両親は楽しい青春を
送ってきたんだ・・・・・

そう思うとなんだか
おかしな気分だった・・・・。