私は琉仁を押しのけようとしたけど


ちょうど二人が重なるようにして
入るこの狭い空間は
どんなに押しても琉仁の自由になっていた。



「ね!?琉仁が私をふったんだよ
今さら何言ってんの?
結婚することになって
気でも狂ったの?」



「俺がふったっけ?」



「浮気ばっかして~
気づかないふりしてたけど
琉仁にずっと前から
違う女いるの私知ってたよ。」



「マジ?」



琉仁はふざけたように
驚いた。



「バカ!!だからやめて・・・」



「違うよ…俺はさびしがり屋なんだぞ」



「知ってるよ。」



私は必死に琉仁の胸を押した。



「紅をまた…鳴かせたい・・・
可愛い声で鳴かせたいな~」



私は琉仁の頭をひっぱたいた。