運命の恋~先生を抱きしめたい~

事故現場のビルには
青いシートがかけられていた。


生生しい光景だった。



私は向こう側から
やってくる足音に


顔をあげた。




 昨日の人・・・・・


私の脳がその人を記憶しようとしてる



男の人は
肩をがっくりと落としていた。



そしてまだ薄く残る
血の跡の上に覆いかぶさった。


私はそれを
一枚の絵のように
見ていた。



男の人はつぶやいた



「真理子・・・・ぉ・・・」


地獄の果てから聞こえる
地を這う声がやがて
嗚咽に変わった。



 ごめんなさい


私は心の中でそう叫んでいた。


 あなたの大事な人を
 奪ってしまって
 ごめんなさい……


肩を震わせて男の人は
泣いていた・・・・・。


自分が気持ちいいとしてきたことで
誰かの幸せを
奪ってしまった後悔で一杯だった。