「れーん!せっかく夏休みなんだからどっか行きたいっ」

夏休みといえど部活でなかなか会えない香奈が携帯の向こうで叫んだ。

会いたいのは俺も同じなんだけど秋に先輩が抜ける分俺達2年はしごかれて家に帰ると、この暑さもあってぐったりしてる毎日。

香奈とは電話でしか話してない。

「だよなぁ…」

今度いつ部活が休みだっけ?とカレンダーとにらめっこする。

「廉が部活で大変だって…ちゃんとわかってるよ。でも…ね?」

この香奈のアメとムチ(?)加減が絶妙でついデレデレしてしまう俺って…。

「次の日曜は部活ないんだ。海にでも行く?」

俺の提案に香奈は二つ返事で乗ってきた。

「うんっ!行く行く!」

「…俺も…ホントはもっと香奈に会いたいんだからな…っ」

香奈の弾んだ声が可愛くてつい洩らしてしまった言葉に電話の向こうで香奈が絶句する。

あー、俺ってどーしてこームードってもんがないんだろ…。

でもそれは俺の正直な気持ちだ。

「…そんな事…ちゃんとわかってるよ」

声に照れが入ってるけど香奈は嬉しい返事をしてくれた。