部活が終わって着替えていると先輩の話し声が耳に入った。

「この前、とうとうカノジョとヤッちゃってさー」

やっぱり年頃の俺達としてはそーゆー話に興味ある訳で…。

先輩の一言でみんな色めき立っちゃって目の色が変わってる。

先輩の話が気になり全神経を耳に集中させて聞き耳を立てた。

自慢げに俺にとって未知の世界を話す先輩が妙に大人びて見え、人間こうも変わるものなのかと驚きを隠せない。





「香奈!」

校門でいつも通り俺を待っていた香奈は呼びかけに笑顔を見せた。

あの笑顔が俺のものだと思うと頬がだらしなく弛む。

「もうすぐテストだね」

憂鬱そうに香奈が呟く。

もちろん俺も楽しいはずがない。

「廉は成績いいじゃない。私は理数系が全然だもん」

あーあ、と大きくため息をつく。

「じゃあさ、テスト勉強一緒にするか?数学なら教えてやれるし」

俺の提案に香奈の顔がパッと明るくなった。

「ほんとっ!?」

頷く俺を嬉しそうに見上げる。