「香奈!」

校門にもたれて、いつも通り俺を待っていた香奈は呼びかけに笑顔で振り向く。

可愛い…。

ちょっと見惚れていたら香奈は小首を傾げて俺を覗き込んだ。

「れーん?」

「帰ろっか」

照れ隠しに早口で言うと香奈は俺と並んで歩きだした。






「廉ってば以前に比べたらすっごく優しいよね」

香奈は含み笑いしつつ俺を見る。

「俺はずっと優しいだろーが」

心外だと言わんばかりに口を尖らせた。

「前は意地悪だった!」

少し頬を膨らませて香奈は断言する。

「そーかー?香奈の気のせいだろ?」

「そんな事ないもん。だから廉は私が嫌いなんだと思ってたんだもん」

確かに以前は憎まれ口ばっかで、香奈にそう思われても不思議じゃなかったかもしれない。

「嫌いなヤツに絡まねーよ」

そう、香奈の気を引きたくて意地悪してた。

子供っぽい事してる自覚はあったけど、とりあえず香奈に関わっていたかったんだ。