もの言いたげに翠の瞳をむける少女の隣で、獣は転身する。
金の火花が飛び散り、輪郭がゆがむ。
そして、そこには見慣れた姿が現れる。
フードを目深に被り煙管をくわえた少女。
雷電の民クラウンである。
知らず息を止めていたのだろう、レジィが息を吐き出すようにしてつぶやく。
「クラウンお姉さん?」
「せや。驚いたか?」
「はい、びっくりしました」
悪戯ぽい視線を投げかけるクラウンにレジィは素直に答える。
しかし、隣のサレンスは驚いた様子はなく、にこやかに言う。
「私が恋しくなったのか?」
「そないなわけあるかい。この間の代金もろうてなかったんや」
ドラゴン討伐に出る前日、サレンスはこの雷電の民の少女から、護符だと言う金の髪飾りを売りつけられていた。代金は討伐後にという話だったが、けっきょく払わずに王都を出てしまった。
しかし、取立てに来たと思しきクラウンの言葉に氷炎の民の青年は肩をすくめただけだった。
「私は身体で返したと思っていたんだが」
「身体って、何のことですの?」
サレンスの言葉にクラウンの側の少女が胡乱げに聞く。
「また誤解を呼ぶ発言をするんやない。ちょい商品見本になってもろうただけやないの。あれとこれとはまた話が別や」
「しかたがないなあ」
サレンスは腰に下げた短剣を取り出した。それをもう片手で束ねた己の銀の長い髪の根元にあてがうと、無造作に切り落とした。
金の火花が飛び散り、輪郭がゆがむ。
そして、そこには見慣れた姿が現れる。
フードを目深に被り煙管をくわえた少女。
雷電の民クラウンである。
知らず息を止めていたのだろう、レジィが息を吐き出すようにしてつぶやく。
「クラウンお姉さん?」
「せや。驚いたか?」
「はい、びっくりしました」
悪戯ぽい視線を投げかけるクラウンにレジィは素直に答える。
しかし、隣のサレンスは驚いた様子はなく、にこやかに言う。
「私が恋しくなったのか?」
「そないなわけあるかい。この間の代金もろうてなかったんや」
ドラゴン討伐に出る前日、サレンスはこの雷電の民の少女から、護符だと言う金の髪飾りを売りつけられていた。代金は討伐後にという話だったが、けっきょく払わずに王都を出てしまった。
しかし、取立てに来たと思しきクラウンの言葉に氷炎の民の青年は肩をすくめただけだった。
「私は身体で返したと思っていたんだが」
「身体って、何のことですの?」
サレンスの言葉にクラウンの側の少女が胡乱げに聞く。
「また誤解を呼ぶ発言をするんやない。ちょい商品見本になってもろうただけやないの。あれとこれとはまた話が別や」
「しかたがないなあ」
サレンスは腰に下げた短剣を取り出した。それをもう片手で束ねた己の銀の長い髪の根元にあてがうと、無造作に切り落とした。

