「サ、サレンス様」
氷炎の民の青年の力のお陰で雨は彼らを濡らすことなく蒸散していたが、雷鳴が酷い。どこかに避難しようとレジィがサレンスの袖を引くが彼は動こうとはしない。
厚い黒雲のかかった空の一点をじっとみつめているばかりだ。
つられるようにして空を見れば、そこには金色に輝く点。
「うおおおーん」
彼らと同じように空を見上げていた白銀の雪狼は空に向かって吠えた。
「なに?」
やがてそれはだんだんと大きくなり、獣の姿をとる。
一直線に彼らの目の前に降り立ったのは、巨大な獣。
セツキよりもゆうに一回りは大きい。
漆黒の地に銀色の縞模様は虎のようでもあるが、毛足は虎よりも長く、尻尾はふさふさとしている。
額には人の背の半分はあろうかと言う長さの金銀の入り混じった不思議な模様の美しい角。彼らをまっすぐにみやるのは爛々と輝く黄金の瞳。
太い四肢には雲を纏う。
そしてその不思議な獣の背には人が乗っていた。
まだ幼い少女。
金の髪に翠の瞳。
背に負った大荷物とともに獣の背から滑り降りてきた人物。
動きやすそうな少年の姿に身をやつしていても、それはまさしくファンタジア王妹殿下その人に違いなかった。
氷炎の民の青年の力のお陰で雨は彼らを濡らすことなく蒸散していたが、雷鳴が酷い。どこかに避難しようとレジィがサレンスの袖を引くが彼は動こうとはしない。
厚い黒雲のかかった空の一点をじっとみつめているばかりだ。
つられるようにして空を見れば、そこには金色に輝く点。
「うおおおーん」
彼らと同じように空を見上げていた白銀の雪狼は空に向かって吠えた。
「なに?」
やがてそれはだんだんと大きくなり、獣の姿をとる。
一直線に彼らの目の前に降り立ったのは、巨大な獣。
セツキよりもゆうに一回りは大きい。
漆黒の地に銀色の縞模様は虎のようでもあるが、毛足は虎よりも長く、尻尾はふさふさとしている。
額には人の背の半分はあろうかと言う長さの金銀の入り混じった不思議な模様の美しい角。彼らをまっすぐにみやるのは爛々と輝く黄金の瞳。
太い四肢には雲を纏う。
そしてその不思議な獣の背には人が乗っていた。
まだ幼い少女。
金の髪に翠の瞳。
背に負った大荷物とともに獣の背から滑り降りてきた人物。
動きやすそうな少年の姿に身をやつしていても、それはまさしくファンタジア王妹殿下その人に違いなかった。

