とはいえ、生活習慣は簡単に変えられません。

 再開したとばく場では、相変わらずの負け通し。 ねこさんとの交際費用もかさみ、おごってもらってばかりのなさけない生活でした。

 やがて電気が止まり、電話ができなくなると、それ以上のライフラインが断たれることより、ねこさんと連絡がつかなくなる事をぶたさんはおそれました。 そして仕方なく、消ひ者金ゆうに足を運びました。

 そこでぐうぜん人体実験のチラシを見つけたぶたさん。 かんたんな検査と数錠のおくすりを数日間のみ続けるだけで、たくさんのお金を貰えるとの内容に、ぶたさんは即心を打たれました。 おかねはかりずに消ひ者金ゆうを出て、早速人体実験の面接場所に向かい、しんさを受けました。 結果はみごと合格。

 全身に強い痛みをともなう検査や、のむとげんかくが見えるおくすりの飲用、数日といって実際は数ヶ月だったりと、チラシの内容とはかなり違う実験でしたが、最終的に、ぶたさんはたくさんのお金を手に入れることに成功しました。

 いつもなら数分で手に入るユ吉の束を見て、ぶたさんの中になんだか不思議な感情がともり始めます。 お金の大切さ。 手に入れる事の難しさ。 ぶたさんは今までの自分がいかに運頼りの生活をしていたか考え、ちょっとだけ情けない気持ちになりました。