では、どちらが正解か。

 うさぎさんが轢かれれば、お金の事も何もかも解決して、一見問題ないように見えますが、ねこさんと自分の心の中には消えない傷が残るでしょう。

 ねこさんが轢かれれば、ぶたさんが築いてきた幸せの道が崩れ、うさぎさんの膨大な借金だけが残ります。 そもそも、うさぎさんと自分はただの友人関係でしかないのです。

 ならばここは、うさぎさんを見捨てるべきか―― いや、うさぎさんは自分の為にこんな目に合っているんだぞ。 そもそもどちらかを見捨てなきゃいけないこの状況がおかしい。 どちらかの命という幸せの代わりに、どちらかの命という幸せが失われてしまう。 愛しい人か、親しい人か。 何が普通の運勢だ。 こんな立派な二択をせまられて、これが自業自得の結果だって、納得できるわけがない。 天秤にかけるべき二つに自分が含まれていないなんて、どうかしている。

 止まった世界の中で、ぶたさんは死ぬほど悩み、苦しみました。 どうする、どうすればいい、どちらを選べばいい、ああ、決まらない、決まるわけがない、この止まった時間がいつまで続くかわからないのに、そうこうしている間にも、二人共を失ってしまうかもしれないのに、僕はまた間違えるのか、また、また何も変えられず、また――