なんだかとっても不思議な夢だったなあと思いながら、いつものようにぶたさんはとばく場へ向かいました。

 結果はさんざんでした。 いつもなら一度くらい大きなあたりが出てもおかしくないのに、今日のぶたさんはまったくいいところがありませんでした。

 手持ちがなくなってしまったぶたさんは、家に帰る途中、今朝の夢について考えていました。


 (まさかあの夢は、夢ではなかったのだろうか)


 次の日も、次の日も、ぶたさんはかけ事で負けました。

 それだけではありません。 買った株はぼうらくをはじめ、投資した企業は次々と倒産し、ぶたさんはあっという間に一文無しになってしまいました。


 (そんなバカな。もしあれが夢じゃなかったとして、何が半分だ。僕のゆいいつのとりえである運が全部とられてしまったら、僕はこれから何を支えに生きていけばいいっていうんだ)


 すっかりふさぎこんでしまったぶたさんは、しばらくとばく場にも顔を出さず、フトンをかぶってわんわんと泣きわめく日々をおくりました。 趣味と実益をかねていたかけ事を失い、これからどうしていいのかわからず、途方に暮れていたのです。

 ある日、ふいに来客を告げるチャイムが鳴りました。 この家におきゃくさんがくるのは何年ぶりでしょう。 ぶたさんは少しドキドキしながらふとんから顔を出し、ふとんを引きずったままげんかんのトビラを開きました。




 「こんにちは、ぶたさん」

 「えっ、ねこさんじゃないか。どうしたんだい」