体中ににぶい痛みを感じながら、ぶたさんはゆっくりと身を起こしました。 無数の足あととビリビリにやぶられたうま券の破片を払いながら、まわりに目をやります。 既にとばく場は閉店の時間になっていました。 あたりは真っ暗で、誰の影も見当たりません。

 ぶたさんはしばらくの間、何を考える事もできず、ただ呆然とその場に立ち尽くしていました。

 遠くからぶたさんを呼ぶ声が聞こえます。 声の方を見て、ぶたさんはギョッとしました。 ねこさんです。 ねこさんが、必死な顔をして走ってきます。 ぶたさんは思わず2、3歩、後ずさりをしてしまいました。

 何も知らないねこさんはそんなぶたさんの手をしっかりと握ると、息を整えながら、ぶたさんにこう言いました。



 「う、うさぎさんが大変なの!一緒に来て!」