そうです、ぶたさんです。 たとえどちらが勝とうとも、ぶたさんが買った8-10のうま券は当たり――8番と10番がそれぞれ1位と2位をとっていれば、どちらがどちらでも大丈夫――だったのです。 つまり、写真判定を待たなくても、ぶたさんの勝ちは揺るぎません。

 ぶたさんは、自分が自分の能力と運命に打ち勝った事を実感しました。 境遇だなんだと悩み、流されるだけではいけないと痛感しました。 どんな状況であろうと、自らの力でそれを跳ね除けるために、行動するという事。 ぶたさんはこの数年で、その事を強く学習しました。

 当初は、お金を手に入れてみんなに幸せを分け与えたい、という気持ちしかなかったぶたさんですが、お金を手に入れた今、それ以上の何か、別の大切な何かを得たような気がしてなりませんでした。

 何かのために、自らを投げやる覚悟。 人生なんてどうでもよかった保守的なぶたさんには、考えられない感情です。 そう思ってみると、妙な能力がついたことも、あながち悪くなかったのかもしれません。