気がつけば、レースも中盤に差し掛かり、各うまさんが仕掛けに入っていました。 8番もそれに乗じて前の方に出始め、10番はまだ後方に位置しています。

 これだけ入念な準備をし、自分ではなく他人の不幸を一身に背負った上で、負けるはずがない。 ぶたさんは自分ではなく、自分の境遇に、絶対の自信を持っていました。 そうでなくては、他の人を、ましてや大事な友人を巻き込んだかけ事なんて出来ません。

 とはいえ、やはりかけ事はかけ事。 ぶたさんは手に汗握りながら、うまさん達の流れをものすごい形相でにらみつけていました。

 さあ、レースも終盤です。 各うまさんが全力でゴールを目指します。 8番は現在3番手ほど、10番は・・・見えません。 まだ後ろの方にいるのでしょうか? ぶたさんに焦りが見え始めます。 大丈夫か? 大丈夫だよな? だって不幸の後は幸福だろ? これだけの不幸の後に幸福が訪れないワケがないじゃないか! ぶたさんの声にならない声が響きます。