ぶたさんが向かったのは、一番奥にあるけいば場でした。 数十頭のうまさんがかけっこをし、その順位を当ててお金をもらうところです。 うまさんの実力に応じて倍率が異なり、一回のレースでお金が100倍以上になることもある、人気のかけ事でした。

 とばく場には色々なかけ事がそろっていましたが、ぶたさんは自分の能力の性質上、ここが一番勝てる場所と考えていました。 小さくズルズル勝っていくゲームや、大きく勝つまでに準備がいるようなゲームでは、どの時点で自分の運が発動するか、そしてどこから下降し始めるか、よくわからないからです。 けいば場ならば、一回のレースに全てをかければ、それで事足ります。

 ぶたさんは緊張した面持ちで倍率表を見ました。 100%運頼りである以上、うまさんの能力や人気なんてのは関係ありません。 倍率が高い組み合わせを片っ端から見やります。 そんな中、目に付いたのは、8番と10番の組み合わせでした。