うさぎさんからすれば、何を言ってるんだこのぶたやろう、って感じだったに違いありません。

 それでも結果として、うさぎさんはぶたさんの、想像以上のお金を持ってきてくれました。 それでも、周りに貸したお金のすべてではなく、借金にも届かない、そう言ってさみしく笑ううさぎさんを見て、ぶたさんは歯をギッと食いしばります。

 自分が戦わなくてはならない不幸の大きさを感じとり、内心少しおびえながらも、ぶたさんは「大丈夫、やってやるぞ、大丈夫」と何度も唱えながら、ゆっくりととばく場へと歩き始めました。

 運送会社で働いて以来、一切来ることのなかった久しぶりのとばく場は、ぶたさんを複雑な気分にひたらせてくれました。 居場所のなかった自分、ねこさんとの出会い、そして、新しい自分になるためのスタート地点。 ぶたさんは大きく深呼吸をした後、ゆっくりと、しかし確実に、奥へと歩みを進めました。