ぶたさんはそれを聞いて、何の疑問も引っ掛かりも抱くことなく、ただただア然としました。

 今まで自分にしか起こっていなかった幸せの反動が、自分のごく近くの人に降りかかっている、と感じたからです。

 少し前の自分ならまわりの不幸なんてどうでもいい事でしたが、友情の大切さ、人と人のぬくもりを知ってしまった今となっては、自分の身が傷つけられる以上の苦しみです。 これが結婚という幸せのしっぺ返しだとすれば、あまりにも辛い現実。 ぶたさんは、自分の境遇と巻き込んだであろううさぎさんに、深い悲しみを覚えました。

 しかし、ぶたさんには計画がありました。 うさぎさんが巻き込まれてしまった為に少しの抵抗が生まれましたが、逆に考えれば、うさぎさんを救うためにはもうこの計画を実行するほかありません。 ぶたさんは覚悟を決めました。 覚悟を決めて、いつの間にかその場に座り込んでしまっていたうさぎさんに、やさしく声をかけます。



 「うさぎさん、今から僕が話す事を、疑わずに聞いてくれませんか」