中心には、ぶたさんとねこさんの姿がありました。 そうです、二人はついに結婚する事になったのです。 付き合ってから数年、何度もしょう突し、傷つけ合いながらも、ついにここまでたどり着いた二人。 付き合い初めにはまったくと言っていいほどいなかったお友達も、今じゃ小さな教会をうめつくしてしまうほどです。 それがぶたさんの成長を表していると言っても過言ではありません。

 場所は二次会のカラオケ。 みんなが幸せを分かち合い、大さわぎしている最中でしたが、ぶたさんはずっと神経を張り巡らせていました。 今までの流れから言って、これだけ大きな幸せの後は、必ず大きな不幸せが舞い込んできます。 もしかしたら、命に関わる不幸せかもしれない。 ぶたさんは、場にそぐわないピリピリした表情で、ずっとまわりの様子をうかがっていました。

 そこで、ぶたさんは小さな異変を見つけました。 自分と同じように、浮かない顔で下を向いたまま、チビチビとお酒を飲んでいる人がいます。 その様子はあまりにも不自然でしたが、大騒ぎのせいか、ぶたさん以外誰も気付いてはいないようでした。



 その人がトイレに立ったので、ぶたさんは後を追うように席を立ちました。

 トイレの前で待つ事数分、ドアを開けて出てくるその人に、ぶたさんは慎重に声をかけました。