合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです

「で、先輩、結婚式は?」

「うん。お腹が目立たないうちにと思って、前倒しで七月にすることにした」

「えぇ~、七月ってもう直ぐじゃないですか? で披露宴は? 僕達二次会の主催は引き受けますよ」

「残念だけど、披露宴はやらない。身体もきついし、準備が間に合いそうにないから」

「えぇ~、僕達、柏木先輩のお色直し、楽しみにしてたんすよ~」

「なに? それ?」

「もう、社内じゃ、柏木先輩は白無垢かウエディングかって話しで持ちきりですよ。女子達は、お色直し何回するか、式には誰が招待されるのかって騒いでます。勿論、僕達は呼ばれますよね?」

何で、四十男とアラフォー女のできちゃった婚に、こんなにみんなが騒ぐのか。あたしは全く持って理解不能。

口が開いたまま塞がらなかった。

ま、放っておこう。

軽くそう思った。

兎に角今は、自分とお腹の子供のことを最優先に、体調管理を心がけないと。

パンプスをスニーカーに履き替え、身体を締め付けるタイトなスーツからマタニティジャンパースカートに着替えて、あたしはひたすら自分のやるべきことにまい進した。