合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです

昼休みには、白石と森山がお祝いに駆けつけてきて、開口一番、

「まさか、寿退社とかありませんよね」

と釘をさされた。

「産休開け、三月には復帰するつもりではいるよ」

「つもりって?」

「だって、あたし丸高(マルコウ)だよ。ある意味、出産は命がけ。何があるかわからない。だから、希望的には三月に職場復帰ってこと」

「丸高って?」

白石が間抜け顔で聞いてきた。

「三十五過ぎたら、高齢出産なの。母子手帳に丸高のハンコが押されるの!」

「あ、俺それ知ってる。家の姉ちゃんの母子手帳にもそれ押してあったよ。でも、姉ちゃん全然元気でしたよ」

「ま、人によるからね」

「え、出産って、そんな、命がけなんすか?」

「だから、高齢になってからの出産は、合併症とかのリスクが大きくなるっていうか、体力的にも母体に負担がかかるっていうか……嗚呼、止めてよ。あたしの方が不安になるじゃない」

あたしだって、この歳で初産で、不安がないっていったら嘘になる。