合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです

正樹の驚いた顔が、そのあと直ぐにほころんだ。

「え、ほんと!」

「うそ」

あたしは、ちょっとじらしてみる。

「うそだろ?」

「うそ」

って、抱きしめられた。

「嬉しい?」

「嬉しいに決まってるだろ!」

「でも、できちゃった婚だよ、恥ずかしいね。なんかこの歳になるとさ」

「嗚呼、そんなこと関係ない! で、どうする? 予定早めるか? 十月の式じゃ、もうお腹目立つよな」

「だね」

「九月? 八月? 思い切って七月?」

「七月に式だけ挙げて済まそう! 披露宴は負担になるからやらない」

「俺はいいけど、お前はそれでいいのか? やっぱ、結婚っていうとそれなりの披露宴やって、友達呼んで、みんなに祝福されたいって思わない?」

「だって、準備とかたいへんだよ。今だって、つわりで気持ち悪いのに。仕事もあるし、あたし身体がもたないと思う。頑張って十月までに引継ぎ終えて、十一月から二月まで、産前産後の出産休暇とるつもり」

だって実際、あたしは既につわりに悩まされていた。

「それはいいけど……」

そう言った雅樹は、どうも納得したわけではなさそうだったけど。