合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです

そう雅樹が決断したら早かった。

ほんと、彼の行動力には頭が下がる。

次の日には不動産屋と連絡をとり、あたしが今住むマンション上階の3LDKの空き部屋をすぐさま押さえた。

何故か、今のあたしの部屋は、樹に月八万で貸すことになっていて驚いたけど。

そうして、順調にあたし達の結婚の準備は進んでいった。

って言っても、あたし達の関係を知るのはごく僅か。

白石と森山と、あと薄々感ずいてるらしい販促課の竹内さん。

と思ってた。

あたしに同期入社の女子はいない。何故かその年は営業職だけの採用だったから。

だから、営業職についた女子もあたしが初めてだったし、そういう意味で、あたしは会社の女子の中で浮いていた。

年齢もお局様の域だし、給湯室での噂話に登るような、そんなキャラじゃないと思ってた。

あたしとあいつの噂が会社中に広まってるなんて、夢にも思っていなかった。