合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです

「課長? どちらへ」

と、呆気にとられて尋ねる森山に、

「あ、俺は上に報告に行ってくる」

と、一言。

あたしの隣りで竹内さんが肩を震わせて笑っていた。

「何ですか? あれは?」

白石が竹内さんに視線を送る。

「なんか楽しいな、昔に戻ったみたいで」

「え?」

「ほら、昔もこんな感じだったじゃない? 君と木村君。この活力が九ヶ月連続営業トップの伝説を生んだんだよな」

「えぇ~昔っから、こんなバトルを繰り広げてたんですか? 柏木先輩と木村課長」

森山が目を丸くして大げさに驚いた。

「バトルじゃないよね? これは意見の相違。お互い信頼し合ってるから、これだけ真剣に意見を言い合える。実際、意見の合意を見たあとは、こんな具合。加速度的にスムーズに事が進むわけ」

「もう、止めてくださいよ、竹内さん」

あたしは軽く竹内さんの肩を叩くと、そそくさと開発課を後にした。

あたしだって恥ずかしいわよ。

でも、仕事だし、仕方ないじゃない!