合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです

「柏木か?」

先にあたしに気付いたのは雅樹の方だった。

「あ、はい。あたしはもうこれで失礼します。課長、良いお年をお迎え下さい」

あたしは、かしこまって頭を下げた。

「嗚呼、お前もな。ところで、俺は白石に二次会に誘われたんだが、お前も行くのか?」

と、言われたとこで気が付いた。

ハメラレタ、と。

あたしの困惑した顔を見て、雅樹が呟いた。

「また、白石か」

「みたいですね」

「ま、折角のイブだ。どっかで一杯付き合えよ。渡したいものあるし」

「え?」

「声をかけようかどうか迷ってた。でも、気がついたらお前の姿は見えないし……だから、丁度良かった」

そう言うと、雅樹があたしの肩を抱いて歩き出す。

「ち、ちょっと、誰かに見られたら……」

「俺はもう、誰に見られても、何を言われても、困ることはない」

「そ、それは、そ、そうかもしれないけど……」