合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです

あたしはがっつり食いついた樹を目の前に、仕方なく昨晩の話を包み隠さず話した。

「なぁ~る。はめられたんだ。その晶子さんって元妻に」

「って、そういう言い方止めてよね」

あたしは、あまりの直球に、惨めな気持ちも吹き飛んだ。

「で、姉貴はあのこと話したの?」

樹はあたしの妊娠のことを知っている唯一の生き証人。

手術の日、どうにも心細くって、樹に付き添いを頼んでしまったんだ。

「話せる訳ないでしょ。それもこれも自分のせいにして、抱えこまれたらかなわないよ」

「姉貴にとっては、その方が都合がいいんじゃない?」

「そんなことできない。雅樹をこれ以上苦しめることなんて出来ないよ。それに、あれは、あたしが独断で決めたこと。雅樹は何も知らなかった」

「知ろうとしなかった、と俺は思ってるけど」

「樹、それ言い過ぎ」

「知らないことも罪じゃね?」

「もっと悪い」

それを言ったら、知らせなかったことも罪にならない?

ねぇ、樹?