合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです

白石に連れられ行った、そのレストランは、いつもの賑やかなイタリアンとは勝手の違う、落ち着いた雰囲気の洒落たお店だった。

テーブルは、蝋燭の明かりで照らされ、室内には心地良いクラッシクの調べが流れていた。

食事も、盛り付けといい、味といい、申し分のない豪華さで、車で来ている白石がワインを飲めないのが申し訳なく思うほど。

『先輩は遠慮なくどうぞ』と、あたしはしっかりワインを官能し、すっかりいい気分だった。

食後、あたしが化粧直しに席を立つと、戻った時には、もう白石が会計を済ませていた。

「ほんとにご馳走になっていいの? なんか、ここ高そうじゃない?」

「いいんですよ、たまには。その代わり、この後、少しドライブ付き合ってくださいね」

「え、まぁ、少しなら……」

「じゃ、行きましょう。裕子さん」

「な……」

「今日は森山もいないことだし、いいでしょ。たまには、デート気分出しても」

白石はそう言うと、あたしの肩をしっかりと抱いて歩き出した。