合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです

それからの仕事は、白石と森山の協力のお陰でスムーズに運んでいった。

『エラー検出プログラム』の組み込みも順調に進み、夏を過ぎた頃には、その営業成果も次第に現れてきた。

そんな九月、あたしに辞令が下った。

企画室付、勤務を命ず。

営業サポートと商品企画を主とする精鋭部隊への抜擢だった。

部長と、木村課長の強力な推薦があったと後から聞いた。

まぁ、営業部隊とは、少なからず連絡も取り合う馴染みのある部署だったので、あたし自身も違和感なく喜べた。

あいつと部署を離れることが、寂しくもあり、嬉しくもあった。

あいつとて、同じ気持ちだろう。

そのつもりで、あたしを推したんだろうし。

部署が変わっても、白石と森山は相変わらすあたしに懐いてきて、休日になるとあたしを外へと連れ出した。

全くもって、面倒。

でも、気が紛れて、有難くもあった。

あたしって、結構、現金な性格してるんだ。

ナイター観戦に行ったり、ディズニーシーへ繰り出したり、映画に行ったり、食事に出たり。

男二対女一の、不思議な関係が、今のあたしには心地良かった。

そんなある土曜の夜、白石が初めて一人で現れた。