樹に荷物を預け、エレベーターに乗り込んだ。
樹の言った通り、一階の受付前のベンチに雅樹が座って待っていた。
「柏木、大丈夫か?」
「あ、はい。一晩ぐっすり寝たら、気分もいいです。昨日は本当にお世話になりました。今日一日、家で休んで、明日は出社するつもりです」
「無理はするなよ」
「じゃ、弟も迎えに来てくれたので、これで失礼します」
「裕子……」
と、あいつが口を開きかけたところで、樹がその間に割って入った。
「木村さん? あなただって解ってるでしょう? 姉貴が見かけほどタフじゃないって。
あなたがそんなで、どうするんです。
もういい加減、姉貴を開放してやって貰えませんか」
「樹、止めて……」
「いや、樹くんの言う通りだ。
すまん。
もう出来るだけお前には関わらないようにする。
だから、もう倒れたりってのは勘弁してくれ。
俺だって身がもたん」
「雅樹……」
「じゃ、柏木。ゆっくり休めよ」
そう言うと、あいつはそのままあたしに背を向けて病院を後にした。
「姉貴?」
樹に呼ばれるまで、暫く立ち尽くし、じっと彼の背中を見送った。
樹の言った通り、一階の受付前のベンチに雅樹が座って待っていた。
「柏木、大丈夫か?」
「あ、はい。一晩ぐっすり寝たら、気分もいいです。昨日は本当にお世話になりました。今日一日、家で休んで、明日は出社するつもりです」
「無理はするなよ」
「じゃ、弟も迎えに来てくれたので、これで失礼します」
「裕子……」
と、あいつが口を開きかけたところで、樹がその間に割って入った。
「木村さん? あなただって解ってるでしょう? 姉貴が見かけほどタフじゃないって。
あなたがそんなで、どうするんです。
もういい加減、姉貴を開放してやって貰えませんか」
「樹、止めて……」
「いや、樹くんの言う通りだ。
すまん。
もう出来るだけお前には関わらないようにする。
だから、もう倒れたりってのは勘弁してくれ。
俺だって身がもたん」
「雅樹……」
「じゃ、柏木。ゆっくり休めよ」
そう言うと、あいつはそのままあたしに背を向けて病院を後にした。
「姉貴?」
樹に呼ばれるまで、暫く立ち尽くし、じっと彼の背中を見送った。



