合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです

モニターに映ったのは、弟の樹(イツキ)だった。

「なによ、日曜の昼間っから……」

あたしは、仕方なく、解除ボタンを押す。

程なくして、玄関のベルが鳴った。

あたしは、スコープから樹を確認し、扉を開けた。

「なんか用?」

「ご挨拶だな。なに、そのカッコ、朝風呂? 優雅だねぇ」

「一汗かいて、風呂入って、何が悪いの? 余計なお世話よ」

あたしは、樹の腹めがけて、パンチをひとつ繰り出した。

「まぁ、まぁ、ちょっと近くまで来たから、一緒に昼飯でも食おうかな……なんてさ」

「奢らないわよ。あんたの方が自宅通勤で金持ちなんだから」

「はいはい、今日は俺持ちで。奢らせて頂きます、お姉さま」

「なら、良しとするか。ちょっと待ってて、着替えるから」

あたしはなんだか、気分も軽やかに、着替えのため寝室に入った。