合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです

あたし達は、電波の届かない地下のバーに座っていた。

ここはほんと、安全地帯。

アンテナ一本も立ちませんから~

カウンター席の小さな丸椅子に腰掛けた白石は、小さな切り株に腰掛けた熊のように見えた。

こいつは、ほんと無駄に身体がデカイ。それだけで目立つし、押しもある。

去年一年は、あたしに怒鳴られっぱなしだったけど、今はもう一人前。

営業成績も常にトップスリーに入る稼ぎ頭だ。

「柏木先輩と木村課長って、なんか馴染みって感じですよね」

探りを入れるような白石の言葉に、一瞬ドキリとする。

「えっ、そう? まぁね、昔一緒だったから」

そこはそれ、さらりと、受け流した。

「カレカノとか?」

なんの探りだ! と突っ込みたくなったが、そこはぐっと堪え、大人に返す。

「はぁ? お子様が何言ってんの? 上司と部下。昔同じ部署でバディ組んでたのよ」

「伝説の九ヶ月連続営業トップ」

目を丸くして、白石を睨んだ。

こいつ……やっぱり、食えない奴だ。