合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです

そもそもあたしは、愛する人の子供を産むことよりも、仕事で生きることを選んだ女だ。

その事実は、多分一生消すことはできない。

だからこそ、今の選択に重みが伴う。
流されるまま、にはなりたくない。

そして、

お腹の子供を守るため、仕事を辞め、安静生活を強いられてる舞子を思った。


――あたしには、きっと耐えられない……


「ねぇ、舞子、あんた今のこの状況、後悔してない?」

「え? 何を今更……」

「だって、あんただって、秘書の仕事に誇りを持って働いてたじゃない?

『この会社はあたしが動かしてるようなもんだ』ってさ」

「まぁね、確かに遣り甲斐はあったな。

でもね、あたし気付いちゃった。

あたしが必死に仕事にのめり込んでいたのは、仕事で認められて、自分の存在を肯定したかっただけだって。

あたしが愛した男達も、そんなあたしを愛してた。

美人で仕事のできる女。

一人でも生きていける女」


「いいじゃない。最高の褒め言葉でしょ?」


あたしは首を傾げて、舞子に問い返した。