合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです

「……で、保育室利用の一日の流れはだいたいこんな感じです。
実際には、自分の目で一度見てみるといいですよ。
社員証の提示があれば、誰でも見学自由ですから」

次の日の夕、五時半からの『男前な女の地位向上を支援する会』で、あたしは社内保育室体験について話していた。

「ここまでで、何か質問ありますか?」

「はい」

手を挙げたのは二十台後半くらいの、綺麗どころらしき女子。

髪はロングの巻き髪で、化粧バッチリ、胸元のさり気なく開いたブラウスに小さなダイヤのペンダントが光っている。

挙げた手には綺麗なネイルアートが施されていた。

「あの、授乳回数はどれくらい認められるんですか?」

「う~ん、個人差あるからなんとも言えないなぁ。
あたしの場合はまだ母乳を続けてるから、昼と三時過ぎくらいに飲ませに行ってます。
実際、母乳をあげてると、時間が来ると胸が張って痛くてたまらなくなる。
でも、保育室のもう一人の利用者、本山さんは、母乳が出なくて粉ミルクに切り替えたの。
そうなると、保育室に任せられるから授乳に通う必要はなくなります」

「なら、人工乳に切り替えた方が仕事に集中できるんじゃありませんか?」

彼女の批判めいた視線に、あたしは真っ直ぐに目を合わせた。