合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです

「俺はさ、別に子供が欲しいから結婚したいんじゃないんだよな……
なんか、子供ができないなら結婚しないって言われてる?
体のいい、断りかな。子供できないから諦めろって」

舞子の性格を考えると、そうかなとも思う。

でも、それならはっきりその場で断ればいいじゃない?

そんなまどろっこしいことしないで。

きっと、舞子も迷ってる。

素直にハイって頷けないことで悩んでる?

「俺はさ、舞子の強いとこも弱いとこも、男前でさっぱりしたとこも女らしく可愛いとこも、酒が強いくせにダラシナイとこも、料理が出来ないくせに味にうるさいとこも、みんなひっくるめて好きなんだよ」

「なに、それ? いいとこあんまりないじゃない」

まぁ、舞子の魅力はそういう相対するギャップにあるわけで、樹は舞子のことを良くわかってるってことは確かみたいね。

「姉貴ぃ、俺、どうするりゃいい?」

あたしは、途方に暮れてうな垂れる、この心優しい弟をじっと見つめた。

よし、樹、あたしはあんたを舞子に受け渡すよ。

「ま、成るようになる。
そんな一月後のこと今から悩んでも仕方ないじゃん。
あんたは、この一月の間で、舞子がもう帰りたくないって思うくらい、幸せでラブラブな毎日を過ごさせてあげれば?」

と、精一杯励ましてみたけれど、

「幸せでラブラブな毎日? なんか、俺、遊ばれてる?」

真面目な弟は、素直にあたしの煽てには乗らないらしい。