合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです

次の朝、授乳の為、部屋に連れられてきた我が子の顔をじっくりと見た。

この病院は母子同室ではないので、入院中は夜、しっかり寝させてもらえる。

昨日まで、あたしのお腹の中にいた、赤ちゃん。

なんか、実感わかないな……



――こんにちは、名無しのごんべさん。



あたしは、チョンと、赤ちゃんのほっぺを指でつついてみる。

初日、助産婦さんが付きっ切りで、お乳のあげ方を教えてくれた。

それがね、この小っさい口に、乳首を咥えさせるのだって一苦労。

とても、おっぱいを飲んでる、飲ませてるとは言いがたい。

「赤ちゃんだって、初めておっぱい飲むんだもの、最初は上手に出来なくて当たり前なのよ。でも、上手くいかないからって、諦めないで」

助産婦さんの言葉に励まされながらも、泣きそうだった。

やっと、乳首を咥えて、少しお乳を飲んでくれた時は、嬉しかったな。

けど、最初三千グラム近くあった体重は、日に日に落ちていく。

こんなんで、母乳で育てられるのかな?

あたしの中には、言いようのない不安が生まれてくる。