女の子だった。
エコー検査で七ヶ月頃から性別がわかるそうだけど、あたしはあえて聞かなかった。
よく動く子だったから、男の子かなって、自分では思ってたんだけど、外れちゃったね。
促進剤を打っても、なかなか子宮口が開かなくて、一時は帝王切開かって慌てたんだけど、疲れて、気が緩んだとたん陣痛が強くなって、その日の夜遅くに生まれた。
雅樹も一日あたしに付き合って、疲れたよね。
あたしも疲れた。
わが子を目にした感激は、いきみ疲れた朦朧とした意識の中、なんだか夢見心地でぼやけてしまって……、むしろ、嬉しそうな雅樹の顔の方が目に焼きついて離れない。
「裕子……、よくやった……」
なんて、ドラマの台詞をまねて、目にうっすら涙さえ浮かべて、あたしの手をずっと握ってくれてたよね。
良かった……、ちゃんと産めて。
ほっとした。



