合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです

診察を終え、あたしはロビーで雅樹の携帯に電話をかけた。

「あ、あたし。今、大丈夫?」

「大丈夫だ。どうだった?」

「うん。水曜日、出産だって」

「水曜日?」

「うん。陣痛来ないから、促進剤使って計画出産だって」

「そっか、水曜か……」

「でね、水曜、休めないかな?」

「付き添いか?」

「うん。それもあるけど、出産の立会いして欲しい」

「え? あ? まじか?」

「嫌?」

「嫌っていうか、考えてなかったから……」

「駄目かな? 一応、もう、申し込みはしちゃった」

「あ、ま、これからスケジュール調整してみる。結果は帰ってからな」

「うん。わかった。じゃ、あたしは家に帰るね」

「気をつけて帰れよ。と、実家にも連絡いれとけ」

「ん」

と、あたしは小さく頷く。

でも、きっと連絡するのは水曜の朝。

母に頼るのは嫌だった。

こんな時だけ、母親然とされるのが嫌だった。

あたしは、雅樹の都合がつかなければ、一人で病院へ行こうと心を決めた。