合縁奇縁~女は欲張りな生き物なのです

舞子の終電になんとか間に合うように、樹を護衛につけて家から出したのが十一時ちょっと過ぎ。

すっかり食べ散らかされた居間の様子を見て、あたしはため息をついた。

「お前はいいから、座ってろ」

雅樹がエプロンを掛けて、台所に立つ。

「でも……」

雅樹だって、疲れて帰ってきたのに、洗い物なんて悪いよ……

「少しは、気が晴れたのか?」

あたしの気分とは反対に、雅樹の声は明るい。

「うん、お陰さまで」

「最近忙しくて、悪いな。お前を家に一人待たせてるのは、俺としてもなんか居心地悪いっていうか、気にはなってたんだ。寂しかったら、いつでも友達でも何でも呼んで、憂さ晴らししろ。俺に気なんか使うなよ」

働いてた時は、そんなこと思ったこと無かったけど、あたし、雅樹に気ぃ使ってたのかな?

家でのんびり出産準備してる自分が、なんだか楽してるみたいで、遠慮してたのかな?

「うん、ありがと。そうする」

なんか、ふっと気持ちが軽くなった。