俺は闇が消えかかった街を走った。


俺の部屋迄は一駅の距離だが


タクシーを待つ時間も惜しい。


いや、


少しでも自分の身体を


痛めつけたかったのかもしれない。


自分の事で手一杯で


君を傷つけていた事に


気付かなかった…。


不甲斐ない俺。


見慣れたマンションの前。


肩で息をしながら、


恐々見上げるバルコニー


辺りはチャコールグレーから


乳白色になりかけている


だけど


俺の…いや、俺達の部屋から


うっすらと漏れる光。


喜びと不安が交錯する。


急いでエレベーターに乗り込んだ。


もうすぐ…