君に染まる(後編)



「待たせたら悪いだろ。早くしてやれ」


さっき先輩に向けたものとは違い、優しい表情を見せる。



何がどうなっているのかさっぱり分からない。

必死に頭を回転させていると、先輩が玄関の扉を開けた。



「…外で待ってるからな。ゆっくり準備してこい」



そう言って、止める間もなく家を出て行った。




「ほら、早くしないと時間がもったいないぞ」


「あの…どういうこと?先輩と話したの?でもいつ…」



聞きたいことがありすぎて軽くパニック状態。


そんなあたしを見兼ねてか、小さくため息をついたお兄ちゃんはようやく話してくれた。



「…今日、未央がいない時、アイツが来たんだ」

「先輩が?」


「それで…ちゃんと、話し合ったから………だから…」



今にも泣きそうなのをこらえるかのように、お兄ちゃんは笑顔を浮かべた。




「…楽しんでおいで」




思わず目を見開いてお兄ちゃんを見つめる。


「それって……先輩とのこと…認めてくれる、の?」



おそるおそるそう聞くと、少しためらいながらも小さくうなずいてくれた。