「…………すみません」
「謝んな。理由を話せ」
強い口調でそう言われ、
噤んでいた口を更に噤む。
「…優と何話した?」
そんなあたしに気付いてか
さっきより少し優しくなった口調に
視線だけを向けた。
「…さっき、
未央を追おうとした時言われた。
『自重しろ。ちゃんと未央のこと見ろ』
って…これ、どういう意味だよ」
「え…っと………」
本当のことなんて言えるはずもなく
視線を泳がせる。
すると、突然先輩に腕を引っ張られ、
裏通りに通じる路地に連れて行かれた。
人気のないそこで
建物に背を向けるように
立たされたあたしは
目の前の先輩を見上げた。
すると、掴んでいた腕をゆっくり離し、
先輩が視線を向ける。
「…俺は、見てるつもりだ」
「…え?」
「未央のこと、ちゃんと見てるつもりだ。
でも、だからって、
何もかも分かってやれるわけじゃない。
言葉にしてくんねぇと
分かんねぇことだってある。
だから…話してくれ」
真っ直ぐな瞳でそう言われ、
一瞬たじろんでしまった。



