君に染まる(後編)



「…………すみません」



「謝んな。理由を話せ」



強い口調でそう言われ、
噤んでいた口を更に噤む。



「…優と何話した?」



そんなあたしに気付いてか
さっきより少し優しくなった口調に
視線だけを向けた。



「…さっき、
未央を追おうとした時言われた。
『自重しろ。ちゃんと未央のこと見ろ』
って…これ、どういう意味だよ」



「え…っと………」



本当のことなんて言えるはずもなく
視線を泳がせる。



すると、突然先輩に腕を引っ張られ、
裏通りに通じる路地に連れて行かれた。



人気のないそこで
建物に背を向けるように
立たされたあたしは
目の前の先輩を見上げた。



すると、掴んでいた腕をゆっくり離し、
先輩が視線を向ける。



「…俺は、見てるつもりだ」



「…え?」



「未央のこと、ちゃんと見てるつもりだ。
でも、だからって、
何もかも分かってやれるわけじゃない。
言葉にしてくんねぇと
分かんねぇことだってある。
だから…話してくれ」



真っ直ぐな瞳でそう言われ、
一瞬たじろんでしまった。