「いいんじゃねぇか?別に」


腕を組み壁に持たれていた先輩はあっけらかんとそう言った。


「同じテーブルじゃなくて、少し離れて食えば」

「坊っちゃん。ですが」

「しきたりは大事だけど、できる範囲内でやれることやればいいんじゃねぇの。それに、こんな可愛いお願いには逆らえないな」


嬉しそうに私を見つめる。


「…では、お言葉に甘えて」


畠山さんが丁寧に頭を下げる。


「よし、そうと決まれば早く頼もうぜ。俺も腹減った」


部屋の奥に戻る先輩。

私は「どうぞ」と畠山さんを部屋に促して扉を閉めた。



「…未央様は、本当に素敵な方ですね」


入り口で立ち止まったまま畠山さんが私を見つめる。



「早くお屋敷にお迎えし、お仕えできる日を楽しみにしております」


そう言い、微笑む。

私はぎこちない笑みで返事をするしかできなかった。